私は以前より、なぜどのメガバンクも打ち出さないのかと思っていた事項があります。それは
についてです。
ここでは硬貨枚数が一定規模(1000枚以上など)の硬貨からの両替や預け入れを想定し、私の意見を述べていきます。
本施策の狙い
本施策は、他行よりも一番早く打ち出すことにより、わかりやすく・インパクトが強いニュースバリューを狙い、一般消費者に「〇〇銀行が救いの手を差し伸べてくれた」「〇〇銀行はやはりリーディングカンパニーだ」といった企業イメージを植え付け、ファンを獲得することにあります。当然、相手は硬貨を大量保有する方だけではなく、金融機関にとっての優良顧客・将来の見込み客も一般消費者の中にいます。
最適な打ち出しタイミングは、最後の砦であったゆうちょ銀行が硬貨取扱手数料の新設・改定を行った2022年1月17日の直前であり、すでに後手を踏んでいると考えています。ただし、まだ十分有効です。
背景と社会課題化
2022年2月7日、日本銀行が通貨流通高の統計情報を公表しましたが、ここでは論点としません。
ゆうちょ銀行の料金新設・改定
2021年7月にゆうちょ銀行が2022年1月17日付の料金新設・改定をニュースリリースしました。(ゆうちょ銀行HP)

金融機関にとって、硬貨の取り扱いは管理コストや物流コストなど大きなコストを要しますが、これでは少額硬貨は通貨としての価値がないといった誤ったメッセージを与えかねません。
社会課題となる想定
ゆうちょ銀行の対応により、現状の以下のような社会問題が生じることは容易に想定できたはずです。
- ATMやお店のセルフレジ、自動販売機等で大量硬貨を投入する行為が発生する
- お店のレジでも大量硬貨で支払おうとする消費者が発生する
- あらゆる場所に大量の硬貨をけん制する貼り紙等がされる など
メガバンクの位置づけ・事情
メガバンクは日本経済にとって極めて重要な社会インフラであるため、各種手数料等のビジネス展開により数千億円規模の巨額な利益を出し続けるべきであり、さらに成長させていくべきとも考えています。
しかしながら、上記のような流れを受け、日本らしい「損して得とれ」といった発想で、逆に好機と捉える対応ができなかったのでしょうか。他の事業体が行うキャッシュレス施策とは違い、銀行だからできる対応と考えます。私の想像できる範囲では以下のような事情があったのかもしれません。
- 以前から各メガバンクは有料対応化していたため、流れに逆らう施策を打ち出すことができなかった
- 時限的な無料化施策を企画立案したとしても、それ単体での定量的な効果を稟議で説明できる要素がなかった など
メガバンクにおける本施策の導入のしやすさ
パート、アルバイトの手配など、対応できる環境を整える必要はあると考えられますが、以下の点から本施策は意思決定さえできれば速やかに導入できるのではないかと考えています。
- すでに設備・備品を有していること
- 対応するためのシステム対応が生じないこと など
施策導入時に考慮すべきこと、工夫
本施策の世の中への打ち出し方
この時代に硬貨対策かといった声をあらかじめけん制するため
と打ち出してはいかがでしょうか。また、SDGsの推進と連携した展開方法も考えれます。
現場のキャパシティ対策
現場の行員から見れば業務が増える施策であるため、現場の業務量について考慮が必要と考えられます。以下のような対策を並行して検討し、行内でのコンセンサスを獲得してはいかがでしょうか。
- 一定量以上のお客さまは事前予約制とする
- 地域ごとに専用の対応センターを設ける
- パート、アルバイトでの対応範囲を拡大する など
他事業との相乗効果を狙う場合
上記のとおり、本施策の目的は企業価値向上と将来への投資であり、目先の利益(数字)に直結する施策ではないため、意思決定できないといった事情が出てくるかもしません。
そのような場合は、同じフィナンシャルグループ内のクレジットカード会社などのサービスと連携した施策を検討するといったことも考えられます。
いずれにしても意思決定・判断の本質は「不確実性」にあり、時限的な対応としてスタートすることで次の意思決定での軌道修正の要否を検討してはいかがでしょうか。
最後に
上記のとおり、本施策は業界内で横の連携を取らず、一番早く打ち出すことによりニュースバリューを狙う施策となります。
メガバンク(本店)の方とはいずれも前職でお仕事ご一緒したことが何度もありますが、銀行内で業務を行った経験はありませんので的外れな点がありましたら申し訳ありません。
ただ、業務企画部門の方も現場の行員の方も企業の社会的責任を果たしながら、世の中の役に立ちたいという想いを持たれているのではないかと思いますし、そういった世間話でも使えるような面白いことを企画・実行することで働きがいのようなものも得られると思い、記述させていただきました。
この記事のことに触れていただく必要はありませんが、社会問題解決のため、さらなる企業価値向上のために少しでもお役に立てていただけるのであれば幸いです。

